―ピピピピピ
「うーん…。あともうちょっとー…。」
目覚ましに邪魔されながらも、もう一度眠りに着こうとする、あたし。
―バン
「おい!咲、早く起きろ!」
思いきりドアの開く音がしたと思ったら、
次は、あたしより三つ歳の離れた柴原俊(シバハラトシ)、通称俊兄が大声を出してあたしを起こしにきた。
うるさい…。
俊兄は大学のサークルでバンドのボーカルをしている。
バンドいっても、本格派だから声量は半端じゃない。
こんなの耳元でくらったら一週間くらい耳使えなくなっちゃうよ。
いつまで経ってもあたしの部屋から出ていかない俊兄。
寧ろさっきよりくつろいでいる。
「わかりましたよ、起きればいーんでしょ、起きれば。」
あたしは『はあ…。』とため息を着いて、もぞもぞと布団から出た。