響く威厳があり大きな声に思わず

肩を跳ねさせ見上げると

気がつけば我の首に冷たいモノが触れる


周りは火の海で今に身が焦がれそうなほど

とても暑いのにも関わらず

そのひんやりとした感覚に言葉を失った


「安心せい…。まだ殺しはしない」

足軽が我の周りを取り囲むように集まりだす

刀を固く握り首元にある刀を除け

近くに落ちている小石を相手の乗っている

馬の脚に投げつけ足に突然の痛みに

馬は起き上がり走りだし暴れだす

足軽たちは驚いたように馬を落ち着かせようと

必死になるも馬から落とされ蹴り飛ばされながらも

なんとか一命を取り留めたであろう武将は

顔を真っ赤にし怒り狂い声を荒たげる


「もう良いわ!殺せ殺してしまえ!」


その声に足軽たちは槍を手に持ち

刀を鞘から抜き我を目指し襲い掛かる

足軽たちを押しのけ走り去り

血の臭いが漂う戦場に血の繋がりはなくとも

仲のよかった妹を残し走った

ただただ道なき道を進み

振り返らず