今日は早めに店を閉めた。
チコに晩ご飯をあげて帰らなければと、ハルと一緒に店の裏手にまわる。
ハルの家に入っても、もう何の違和感もないことで、この1週間の長さを改めて思い知らされた気分だった。
「いやぁ、でもマジでよかったな、飼ってくれる人が見つかって。俺の生活もやっと落ち着くよ」
そしたらあたしたちは、今までみたいに会わなくなるの?
所詮は昔ちょっとままごとみたいな付き合いをしただけの仲だというのに、とてつもなく悲しくなった。
棚の上に置いているキャットフードを出して、皿に移した。
「おーい、チコー。どこにいるのー? 餌だよー」
部屋の中で呼び掛けるが、どこにも反応がない。
「ねぇ、ハル。チコどこ?」
「ん? 自力で階段はのぼれないから、1階のどっかにいると思うけど」
「いないよ」
「いないわけないだろ。窓だってちゃんと閉めてるし」
「でも、声も聞こえないよ」
仕方がないといった風に肩をすくめ、ハルも一緒に家の中を探してくれる。
ふと、風呂場の方から何か聞こえ、結とハルは急いでそちらに向かった。
チコは風呂場の隅で体を丸め、おえおえと苦しみながら、少し嘔吐していた。
「チコ!」
結は慌てて駆け寄った。
ハルも傍までやってきて、
「病気かな」
「わかんない。変なもの飲み込んだのかもしれないし。とにかく病院に連れて行こうよ。心配だよ」
チコを抱き上げ、うなづいたハルと一緒に、急いで家を出た。


