オレンジロード~商店街恋愛録~

詰め寄るハルは、勘がよかった。



「雪菜ちゃん、カレシいるんだろうとは思ってたけど、その相手ってまさか、レイジだったのか?」


レイジは何も答えない。

しかし、ハルにとってそれは肯定でしかなかったらしく、さらに勘を働かせる。



「そうか、そういえばお前らが商店街で働き始めたの、同じくらいの時期だったもんな。ってことは、その頃からずっと?」


もう隠せないと悟った。

レイジは目を伏せ、「ごめん」と呟く。



「俺と雪菜は、色々あって、駆け落ちしてこの町にきたんだ」

「駆け落ち?!」

「最初は変な目で見られたくなくて誰にも言わなかった。見つかったらまた逃げなきゃいけなくなるし。でも、そうしてるうちに、誰にも言い出せなくなって」

「………」

「騙すつもりはなかったんだ。でも、言えなかった。……特にハルには」


言い訳染みていると、自分でも思う。

なのに、ハルはしばらくの後、「そっか」と言った。



「そりゃあ、そうだよな。俺、前、雪菜ちゃんのこと好きだったもんな。それ知ってて、俺ら付き合ってまーす、なんて言えねぇよな」

「………」

「つーか、お前、優しいやつだなぁ。俺のために黙っててくれたってことだろ?」


怒るどころか、笑うハル。


違う。

黙ってたのは、結局のところ、自分自身の保身のためでしかなかった。



「でも、マジかぁ。いやぁ、しかし、びっくりしたよ。俺今日、何回びっくりすりゃいいのって」


そこまで言ったハルは、先ほどの話を思い出したのか、



「で、そのこととお前の死にたかった理由は関係あんの?」