意識を取り戻したレイジは、病院のベッドの上にいた。
左腕には点滴の管が。
昔、飛び降り自殺をした後に見た景色と似ていて、あぁ、俺はまた生きているのかと絶望する。
ぼうっと視線を彷徨わせていると、
「おっ、起きたか、レイジ」
右側からぬるっとハルの顔が視界に入ってきた。
そうか、確か俺は、公園でハルと会ってそのまま意識を失ったんだった。
思い出したと同時に、夢でも何でもない現実が重く圧し掛かる。
「胃炎だってよ、お前。ストレスとか食生活の乱れとかでなるらしい。一応、他の病気の可能性はないか検査が必要だって言ってたけどさ。それでここのところ顔色悪かったのか?」
「………」
「しっかし、びっくりさせんなよなぁ。たまたま俺が通りかかったからよかったようなものの、あのまま倒れてたらどうなってたことか。慌てて救急車呼んだぞ」
まだぼうっとしたままのレイジに、ハルは身振り手振りでいかに大変な状況だったかを語る。
が、レイジは素直に礼を言う気にはなれなかった。
「どうして助けたの?」
「……え?」
「俺は助けてほしいなんて言ってない。あのまま倒れてたら死ねたかもしれないのに」
睨むような目で声を絞るレイジ。
ハルは驚いた顔をしながらも、
「お前、何言ってんだよ?」
と、眉をひそめる。
「ただの胃炎でそう簡単には死なねぇよ。いや、そんなことより、お前は死にたかったってことか?」
「………」
「何で? 理由は? 俺そういうの嫌いなんだけど」


