オレンジロード~商店街恋愛録~

その場でうずくまるようにしてしゃがみ込んでいる雪菜。



「雪菜?!」


レイジは慌てて駆け寄り、その体に腕をまわす。

青白い顔をした雪菜は、力なく「大丈夫だから」と言うが、



「大丈夫なわけないだろ! 病院に行くよ! こんなにずっと体調が悪いなんておかしいよ! 何かの病気かもしれない!」

「……病気じゃない」


消え入りそうな声で言いながらも、かたくなに病院には行かないつもりらしい雪菜。

しかしもう、この状況を見ては、レイジだって引き下がれない。



「どうしてそう言い切れるんだよ! とにかく医者にきっちり診てもらって」

「病気じゃないから」


レイジの言葉を遮り、もう一度、強くそう言った雪菜。


その顔を見て、はっとした。

まさかと思って目を見開くレイジの目を真っ直ぐに見て、雪菜は言う。



「妊娠、してるの」


鈍器で殴られたような衝撃が脳天を貫いた。

反動で膝から力抜け、レイジは尻餅をつくようにしてその場に崩れた。


視界が濁って上手く雪菜の顔を見られない。



しかし、雪菜の声のトーンは変わらないまま、



「先週、市販の検査薬で確認したわ。はっきりと線が出てた。まだ病院には行ってないけど、ネットで調べたら、今は7週目くらいだって」


子供。

雪菜と俺の子供。


俺みたいな人間の、子供?



「まさか産むなんて言わないよね?」


レイジは声を絞るが、