「あぁ
俺には、緋菜が必要なんだ……

だから俺と一緒に居てくれるか?」

ずっとそう言ってほしかった……

つぅっと私の頬に何かが流れた

「……?」

何?っと思って
頬に触れてみると
自分の涙だった……

ずっと流さなかったのにーーーー

そう思っているとふいに私の両頬が
青原凪の手で包まれた


「もう一人じゃない……」

そう言って抱き締めてくれた

暖かかったーー

しばらく
抱き締めてくれたけど
そっと青原凪の体が離れて
「さぁ行こうか」と言った

「うん」

私が答えると手を繋いでくれた

そして思い出したように

「ところでおれのこと“凪”って読んでくれない?フルネームで呼ばれると距離を感じるんだけど……」

と苦笑いを浮かべながら言ってきた

だから、私は言われた通りに
「……凪?」

呼んでみると

「………っっ…………」

凪の顔がみるみる真っ赤になった

「……?…どうしたの」

「いや…何でもない
早く行こうか」

「どこにいくの」

「さぁ
どこに行きたい?」

「どこでもいいよ…凪のいる場所ならどこでも」

「そうか
まぁ時間はいくらでもあるからゆっくり決めようか」

「うんっ」

二人の会話は、殺人現場には似合わない
楽しそうな声が続いたーーーーー