ゆっくり振り向くと……
少しだけ笑ってこっちに歩いてくる弘樹くんがいた……。
…なんで……?
「久しぶり。」
なんで弘樹くんは忘れさせてくれないの…?
「……」
「元気だった?」
そんな……好きでもないのに優しくしないでよ…!
黙ってうつむくあたしに弘樹くんは苦笑いして……
「そりゃそうだよな…。」
とつぶやく。
……?
よくわからないまま弘樹くんを見つめていると、急に真剣な顔をして「ごめん。」と言った。
…ごめん…?何に対しての…?
「この駅にいたら会えると思って。俺…こないだムシャクシャしてあんなことしちゃったから……。」
あんなこと…?あんなことって……
…あっ!観覧車での……こと…?
あんなことされて忘れてるとか……。
自分にあきれる。
だけど……嫌じゃなかった…んだと思う。
「もう…いいよ…。」
「え…。」
うん……もういい…。
ていうかそんなことよりも……
「じゃああたし電車来ちゃうから行くね。」
「えっ…架純!」
あからさまに逃げようとしたのがバレたのか、弘樹くんに腕をつかまれる。
まただ……こういうことされたら……あたし…。


