「なに?さっきの。」
休み時間、アハハと笑いながら花凜はあたしの席にきた。
「べつになんでもないよ…。」
少しふてくされたような言い方になってしまう。
「…弘樹くんのこと?」
花凜はさりげなくあたしに聞いてくる。
あたしはためらいながらうなずく。
「なんか全然忘れられない……ムカつくの…。」
「ムカつく?」
「うん……あたしばっかりこんな想いでいることに腹がたつの…。だからって弘樹くんに想ってほしいとかじゃなくて……いや、そりゃ想ってほしいけど…それよりもなんていうか……」
「この想いが消えない自分に腹が立つ。」
あたしはハッとして花凜を見つめる。
花凜は少しどや顔で笑っていた。
「当たり?」
「…なに?花凜ってエスパー!?」
そんなわけないでしょ!と今度は高らかに笑われた。
だってあたしでさえ、よくわかってなかった感情を言い当てられるなんて……。


