「どうだったのよー?彼は。」
次の日。
学校に行くと花凜はあたしを見つけるなり、満面の笑みで問いただす。
「…どうもこうもないよ。」
だけど、あたしが不機嫌なのに気づいて少し花凜も肩を落とす。
結局あの後だって……
観覧車から出ると、あたし1人で走って逃げるように帰った。
あたしのこと追いかけようとすらしなかった…。
まぁ当たり前か。
どうせあたしはその程度だったんだ。
「だからね、もうあきらめる。」
「ええー…いいの?」
「しかたないよ…。もういいんだ。だって連絡先も知らないし……いまさらどうしようもないよ。」
「……」
「結局あたし遊ばれてた。昨日でよくわかった!だからもういいの!」
「…そっか。それならしかたないけど……。でも前の勉強ばかりの生活に戻って無理しすぎないようにね?」
「うん…ありがと。」
ほんと花凜に心配かけてばっかり。
ダメだなぁ……あたし。
ガラッ──…
急にドアの開く音がして、あたし達は振り返る。
「おーい、木下!木下花凜いるか?」
突然教室に入ってきて、花凜を呼んだのは柴田先生だった。
柴田先生はあたし達の体育を担当している先生。
また、うちの女子校で数少ない男の先生でもあり、生徒からの人気は絶大なものである。