…絢…さん?
明るい茶髪に高い鼻、おまけにパッチリした目。
とても学生とは思えない。
大人っぽい人……。
どういう知り合いなんだろ、と思いつつ見とれていると、弘樹くんに腕を引っ張られ立たされる。
「わ…!」
え…どうしたの?
あたしに見つめられているのに気づいてないのか、弘樹くんは絢さんを睨んでいる…。
不安に思い、あたしも絢さんを見つめる。
絢さんはあたしと目が合うと、ニコッと笑って言った。
「その子、新しい彼女?」
「別にあんたに言う必要ないでしょ。」
ぶっきらぼうにそう言って、あたしの手を引いて歩き出す弘樹くん。
「なに?えらく冷たいのね。」
後ろで絢さんのフフッ、という笑い声が聞こえる。
弘樹くんはその声に、少し悔しそうに足を止める。
「早く行ったら?今日バイトでしょ?」
「…そうね、そろそろ行かなきゃ。じゃあね。」
絢さんはあたしと目が合うと、また笑って手を振った。
あたしも少し頭を下げる。


