──…「ねえ花凜!あたしどこも変じゃない!?」
「なに?さっきから変じゃないって言ってんじゃん!」
「そっか……よかった。」
いつになく落ち着きのないあたしを花凜は不思議そうに見ている。
「どうしたの?今日ずっとソワソワしてる。」
「えっ…べっ…別に。」
ごまかすあたしに花凜は納得がいかないという様な顔をしている。
「ねぇ…架純なんか隠してない?」
ドキッとあたしの動きが止まる。
「え……なっ、なんで…?」
「…やっぱ隠してるよね…?言いたくないこと?」
花凜は少し不機嫌なようで、それでもって少し寂しそうな顔を見せた。
なんでそんな顔をさせてしまってるのかはわかってる……。
花凜は自分のことを信用されてないと思ってる。
コイツに話しても無駄だって……。
決してそんな事はない。
あたしも言おう言おうと思ってて、タイミングを逃してしまったのもある。
だけど弘樹くんとのことを言ったらバカにされそうで……
遊ばれてる、関わらないほうがいいって言われそうで……。
人に言われてその事実を認めるのがこわい…。
自分ではこの恋は叶わないってわかってるつもりだったけど……
結局本当はわかりたくなくて……。
「…あー…なんか架純最近ちょっと様子おかしいから、心配で……でもほんとに話したくないことだったら、無理に聞き出したりしないから…。」
花凜はこんなときでも、笑ってあたしを気づかってくれる。
押されたら引いてしまうような、あたしの難しくて繊細な性格を分かってくれ、フォローしてくれる。
…なんだかあたしが意固地になってただけの気がしてきた。
花凜がこんなに言ってくれてるのに……。
ちゃんと話そう。
人になんて言われようと、弘樹くんとのことはちゃんと受け入れなきゃいけないんだ。
「ごめん…!花凜、聞いてくれる?」
そう思って、あたしは花凜に今までのことを話すことにした。