「今日も塾だったの?」
「…?うん……。」
「そっか。頑張るね、架純は。」
!……やめてよ……。
そんな優しいこと言わないで……!
それに……
「架純」って呼んでくれた。
名前覚えててくれたんだ……。
少し驚いて見つめると、微笑むその笑顔に酔いしれてしまいそうで
胸が苦しくなる……!
これ以上ここにいちゃ危険だ。
そう思ったあたしは「じゃあ…」と立ち去ろうとした。
だけど……
パシッ──…
「なに?なんかそっけなくない?」
行かせまいとするように、あたしの腕を掴んだ弘樹くんは、意地悪そうに笑って言った。
「…べっ…別に普通だよ……。」
そう言うあたしの声はうわずっている。
弘樹くんに見つめられると、ウソもうまくつけなくなる。
「ふーん。」
おもしろそうに笑う弘樹くんを意地悪だと思った。
あたしの気持ちなんて見透かされてる気がして……
そう思うと悔しくて、早くこの場から逃げたくなって
つかまれた腕を思いっきり振り下ろした
が、全然ふりほどけなくて、むしろ強い力で今度は両手をつかまれ、頭の上で固定される……。
こんな人通りの多いところで……!


