ガシッ!


あたしは誰かに雑誌を持っている腕をつかまれた……!


ビクッと肩を震わせると、その人はあたしの手から雑誌を取り上げ、不思議そうに言った。


「こんなののどこがおもしろいんだか。」


え……?


あたしは恐る恐る顔を上げると、そこには茶髪で背が高くて、右耳にピアスが光る男の子が立っていた。


てっきり店員さんだと思ったあたしは驚く。


見られた…!?


ヤバい……どうしよう……!


「あーらら、店員さん超俺らのこと見てるよ。バレたかな?」


「えっ……!」


彼の声に振り向くと、店員さんがちらちらとあたし達の様子を確認している。


すると、彼はすばやく雑誌をもとの場所に戻して、あたしの手を引いて本屋を出た。


その人はあたしの手を引いたまま、もう暗くなりかけている街を走った。


しばらくすると、あたしの息が切れてしまって2人とも止まる。