リーズン・オア・インパルス



「あーつかれた。」

「じゃあねー!」


5時から始まった塾は8時になると終わり、
みんな生徒はそれぞれ教室から出て行く。


あたしも疲れた足取りかで塾から出る。 


塾から駅まで少し遠い距離を、ダラダラと歩く。


もうすっかり暗いから、見かけるのは会社帰りに居酒屋とかに入っていくサラリーマンばかり。


制服姿の学生を見かけるとしても、みんなカラオケに映画、ゲームセンターなど、学校帰りにそのまま遊びに来ている人達で。


あたしみたいに塾に通っててこんな時間まで外にいるのはほんの一部だろう……。


あたしの学校、塾の最寄り駅は構内がファッションビルとつながっているので、若者が集まりやすいと言われている。


駅周辺でも、飲食店や映画館もあり、この辺りじゃ開けているほうだと思う。


あたしはめったに遊ばないけど……。


あーもう早く帰ろう。


こんなとこにいてもむなしくなるだけだし……。


足早に歩き出したその時だった。


ドンッ!


「わっ……!」


あたしは数人のサラリーマンの1人とぶつかって膝からこけてしまった。


その瞬間、スクバに入りきらずに、トートバックに入れていた問題集や教科書がその場に散らばる。


「あれー、ごめんごめん!」


「ちょっと課長ぉ、何やってんですかぁ!」


ぶつかった男も、その隣の男もベロベロのようだ。


「ごめんよぉ、よいしょっと……」


「あっ、大丈夫ですから!」


ぶつかった男が教科書を拾おうとかがむのをあたしは素早く止めた。


あまりに酒臭かったので、これ以上近づかれるのはきつかった。


教科書にも匂いが移るんじゃないかというくらい……。


「あーそう?そんじゃあ……」


サラリーマンたちはおぼつかない足取りで去っていく。