彼が自殺をして以来、僕は時々パズルの事を想う。未完成のパズルと失ったピースの事を。いずれにしろ、彼はもうパズルを完成させる事も失う事も無いのだ。

後日、僕はクライアントに挨拶をする。

「なかなかうまくいかないもんです。」

「確かに厳しい条件だが宜しく頼むよ」

「いえ…パズルですよ」

「パズル?」

先方が訝しげな表情を見せる。僕はお辞儀をする背中でVサインを作ってみせた。

            おしまい。