無言で頷いた春人を確認すると、雪見は部屋に入室した際に聞こえた例の声について話し出した。
「花のこととか、今ここで起こっていることとか、全部私たちが部屋に入ってから起こりはじめましたよね。」
「ああ。」
短く久阪が同意する。
「部屋に入ったとき、女の子みたいな声が聞こえたんです。」
信じてくれないかもしれないけど、と雪見は付け足したが、ここに居る誰もが冗談では無いと理解していた。
朝食の時の知恵の夢の話の時から、全員理解していたからだった。
「『私をわすれないで』って、一言だけ・・・。多分、知恵ちゃんにも聞こえてたと思います
。そのあとすぐに倒れたから・・・。」
「なるほど、それで俺たちが駆けつけて現在に至る、と・・・。」
久阪が、うーん、と頭をひねり出すと、暮山が挙手をした。
「あの、俺もちょっと話があるんですけど。」
「何だ?」
ようやくいつものようにリーダーシップを取り戻した春人。
久阪に話を聞いてもらって、だいぶ様子は落ち着いたようだった。
そんな春人を見て、暮山は胸を撫で下ろしたのだった。


