四ヶ月前___。

蘭松高校、校門前。



「入学式」と華々しくペーパーフラワーで彩られた看板を背負うその校門の下には、異様なオーラをまとう新入生二人。

今にも殴り合いを始めそうな二人の剣幕に、周囲の人間は二人を囲むように距離をとりつつ眺めていた。

ぴりぴりと、春だというのに冷たい空気が張りつめる。

すぐに生徒会の女生徒が飛んできて、状況を察知するや教師を呼びに校舎へ走る。

しかしその女生徒が駆けだしたのとほぼ同時に、二人が片手を突き出した。

ついにケンカが始まるかと、野次馬は息を呑み、一人の女生徒は思わず目をつむった。


しかし、この場のだれもが予想しない光景が、繰り広げられたのだ。

「一年、加山昴だ・・・・!」

「同じく一年、暮山叶だ。」

目をつむった女生徒、すなわち雪見香由はつむった目を見開いた。

と、どこぞの青春ドラマのように手を組み、夕日でも背景につけたら熱いBGMでも流れてきそうな空気を醸し出した。

そして双方、どうにも言えない良い笑顔で、まさしく意気投合したのだった。




(まさか、あの話題の二人がホラ研での後輩になるなんて思いもしなかったけど・・・。)