加山&暮山 side



先ほどまで、広い!ふかふか!と叫び回っていた親友も、今はいびきとともに眠りについている。

暮山は、静かになった部屋で一人端末をいじっていた。

「・・・お、インストール出来たか。」

新しくアプリにフランス語辞典を追加したのだ。


『ne-m’oubliez-pas』検索


まさかイギリスに来てフランス語を勉強することになるとは思わなかった、と暮山は一人苦笑する。

「えーっと・・意味は・・。勿忘草(わすれなぐさ)・・・?」

あぁ、あの小さくて可愛らしい花のことかとそのイメージを脳内にひっぱりだす。

そして関連項目の、花言葉に指を伸ばした。

「花言葉・・・『私を忘れないで』と、『真実の恋、愛』。」




「私を忘れないで・・・・・か。」



外の廊下に響く足音を聞きつつ、ベッドに横たわる。

もうすぐ夕食だと部長が来たのだろうな、と暮山は思った。