「おーっ結構広い!」

「家具とかも、アンティークでいいですね・・・!!」


雪見と知恵は、部屋に入室すると感嘆の声を上げた。

ちゃんと浴槽つきで、アメニティもしっかりとしている設備を見て、雪見は先ほどのバカップル同室騒動など全て忘れ去った。

ヨーロッパの方では、浴槽に浸かるという習慣が薄いと聞いていた。

もしもいつ帰るか分からないような海外旅行で、湯船に浸かることができないなら雪見は溜まるストレスを発散出来なかったであろう。


少し大きめのベッドにダイブすると、すぐに睡魔が忍び寄ってくる。

時差でまだ頭がぼやついているのだと、雪見は納得し、今日は早く寝ることにしようと決意した。

「そういえばさ。」

「はい?」

枕に顔を埋めたまま、荷物を整理している知恵に話しかけた。

「結局、このホテルで何をするのが目的なんだろ?」

「うーん・・。詳しくは言われてないですけど・・。私の予想では、兄さん、ホラ研の活動だ、宝くじだ、って言ってますけど、ただみんなとバカンスしたかっただけだと思いますよ。」

たぶんですよ、ともう一言付け加え、知恵は微笑んだ。

後輩のかわいさに、眠気など吹っ飛んだ雪見であった。