「雪見先輩、お疲れ様です。」
水無月が雪見のそばによってきた。
「小夜ちゃんこそ。あの部長と久我の三人って疲れたでしょ?」
「あはは・・・慣れてますから。」
確かに、水無月の笑顔を見ると疲れてはいるようだが、そこまで苦となっているようではないらしい。
「何すか、それ!まるで俺と部長が小夜に迷惑かけたみたいじゃないっすか!」
当然のようにまだ水無月と手をつなぐ久我。
「そのとおりでしょ、辰。」
水無月が、その手をふりほどいた。
すかさず久我が手を握り返し、水無月も負けじとふりほどき返す。
「・・・・何、辰。」
久我、水無月の二人は、いくら家が隣の典型的な幼なじみだとしても、ふだんありえないほど距離感が近い。
幼なじみでも、お互い年頃の男女だと気付いていないというのか。
それでもさすがに、手をつなぎっぱなしだとかそんなことはしていなかった。