「・・・っどうりであの二人、来るのが遅いと思ったわ・・・。」

雪見も、いい加減怒るのが辛くなったらしく、他のメンバーと同様に席に着いた。

「っていうか、何で水無月先輩も行ってるんですか?久我先輩なら、ホイホイ着いていくでしょうけど・・・。」

暮山がそう言いながら、ゲームを終えたのか端末の電源を切りポケットにしまう。

「それはアレだろ。久我が暴れたり迷子になったらストッパーが居る。それが一番出来るのが水無月だって話。」

ごきゅり、ごきゅりと久阪はペットボトルの外側に水滴の着いたコーラを飲み干し、言った。


久我辰(くが たつ)、そして水無月小夜(みなづき さよ)というのは、どちらもホラ研の二年部員である。

久我は、一言で表すなら「元気」なヤツであり、水無月はそれと対象的に大人しく「頭脳」派と言った容貌だ。

水無月は、雪見の用に派手な美人というわけでは無かったが、日本人らしく控えめな美しさがある、と男子生徒の間では人気があったのだ。


正反対にも思える二人だが、加山、暮山の用に妙に気が会う仲なのである。

いわゆる男女の幼なじみというヤツで、早く帰宅してゲームが出来るから、という理由で二人そろって入部してきたのだ。

もっとも、今では二人ともホラーゲームにはまっているようで、しっかりとホラ研として活動しているわけだが。

先日も、この第三理科室でどちらが先にクリアできるかを競っていた。