「ごめんなさい。」
私は呟くように、もう一度そう言った。
部屋は殆んど片付いていたけれど、私は未だに散らばる本を手に取り重ねていく。
「別にもう良い。」
シオンは昔からそうだった。
馬鹿なあの子の事が大好きだった。
だけれど、あの子はその事を知らない。
だって、あの時あの場所に居たのは私だったのだから。
だけれど、私は教えてあげなかったんだ。
だって、あの子は私を暗闇に閉じ込めてばかりだったんだもん。
あの子は馬鹿だから、私みたいにあの子の目を通してそれを見る事が出来なかった。
私はいつもあの子の姿を暗闇から見ていた事すら、きっとあの子は知らなかったんだろう。
「もう良い。さっきはどうしたんだ?」
本を重ねる私の腕を掴んでそれを止めたシオンは、しっかりと私の目を見つめてそう言った。
相変わらず綺麗な蒼い瞳。
私は涙を浮かべて、その瞳をじっと見つめ返した。
「分か、らないの……シオンが……どこかに行っちゃいそうな気がして……こ、恐くって……気づいたら……混乱し、しちゃって……」
我ながら完璧だと思う。
あの子の辿々しい喋り方の真似をするのは本当にイライラするけれど、あの子じゃないとバレちゃいけない。
さめざめと泣く私に、シオンは優しくこう言った。

