それでもなんとなく嫌だったので、顔を背ける。
シオンはそんな私を気にもしていない様子で、何やら片手でごそごそとしていた。
私は気になって、一瞬ちらりと視線を向けると冷たい蒼い瞳と視線が合った。
私は怖くなって、またそっぽを向いた。
不意に冷たいタオルの感触がして、私はビクリとした。
恐る恐る視線を向けると、シオンは私の手に出来た無数の切り傷から流れる血を濡れたタオルで拭き取っていた。
何だか更に胸が苦しくなって、私は顔を背けたままポタポタと涙を流した。
消毒薬の匂いが鼻につく。
ちらりともう一度盗み見ると、血だらけだった腕はすっかり綺麗になって、何ヵ所かに浅い切り傷が確認出来た。
「良かったな、縫うほどじゃない。」
シオンはそう言って、何ヵ所かにガーゼをあててテープで固定した。
そして、今度は逆の手を掴まれたけれど、私はもう反抗する気もおきなかった。
あんなに取り乱した自分を見ても、シオンは何一つ取り乱したりしない。
一人で暴れだした自分が、本当に情けなくて涙が止まらなかった。
もう片方の腕も傷だらけではあったけれど、そこまで大事になるほどの傷ではなさそうだった。
指先が何ヵ所か傷んだので、これではピアノが弾けないと思ったけれど、きっともう私は追い出されるだろうからピアノを触る事もないと考えて、また涙が溢れた。

