だけれど、何が嫌だったのか。
私は途端に頭が冷静になっていくのが分かった。
薬を飲めと言われたのが嫌だった?
・・・・違う。
シオンがそんな薬を持っていたことが嫌だった?
そう、多分そういう事だ。
シオンがそんな薬を持っていると言うことは、自分以外ともそういう事をしているってことだ。
でも、それは実際見ているし、知っていたことで、今更こんな風に感じること事態がおかしい。
じゃあ何で私は、こんな風に取り乱したの?
ずっと昔、まだこの家に引き取られる前の記憶が頭の片隅に突然浮かび上がった。
そう、あれは確かまだ先生が私の担当になって間もない頃だった。
先生の言葉が、何故かあの頃と変わらずに耳に聞こえた。
″愛情と憎しみは紙一重なんだよ。アンナのお母さんは君を愛していなかったんじゃない。愛し方が分からなかっただけなんだ。だからねアンナ、お母さんを恨んではいけないよ。″
愛情と憎しみは紙一重だって、先生は確かにあの時そう言った。
好きだから、独占したいし、傍に居たい、そう言った和也の言葉が、頭を過る。
そして、私は気づいてしまった。
最近のシオンの行動に、心が掻き乱され続けている原因に。
だけれど、もう全てが無意味で手遅れだった。

