何かが、聴こえた気がして目を覚ました。
身体がすごく怠かったけれど、ゆっくりと身体を起こす。
その瞬間、驚いて私は周囲を見渡した。
私が眠って居たのは、リビングでも自分の部屋でもなかった。
黒と白で統一された、邪魔な物が一切ないこの部屋は間違いなくシオンの部屋だった。
なぜ自分がここに居るのかすら、記憶になかった私は直ぐ近くの机に向かっているこの部屋の主の背中をじっと見つめた。
「起きたのか?」
なぜ分かったのだろう。
シオンは私の方を向きもせずにそう言った。
私は何も言わずに、ゆっくりとベッドから出て端に座った。
そして自分の姿を確認すると、何故かきちんと服を着ている事に安心感を抱く。
さっきの出来事が、まるで夢だったんじゃないかと一瞬思ったけれど、立ち上がった瞬間、まるで悪夢みたいな現実を目の当たりにした。
太ももを伝って何かが流れ落ちる、不快な感覚がした。
まさかと思って、一瞬思考が止まった。
だけれど、その不快感は紛れもない現実だった。
机に向かっていたシオンは、振り返って私を見る。
そして動かない私のところにやって来ると、見たこともない薬を手渡して来た。
その2錠の錠剤を、まじまじと眺める。

