シオンは相変わらず不機嫌で、私の腰をしっかり掴んで離さないで歩く。
その態度で、機嫌が悪いのは丸わかりだけれど、何が気に入らないのか私には分からない。
もしあの場に居たのがレオンだったら、気を利かせて先に帰るなり、皆に挨拶くらいはするかもしれない。
ひょっとしたら美人の凛に少し構ったりするかもしれないけれど、あそこまで空気を壊す事はなかっただろうと思う。
なぜ双子なのに、こうまで性格が正反対なのだろうか。
私は無言のままのシオンにバレないように、小さく溜め息を吐く。
シオンの事は嫌いではないけれど、友達の前では兄妹として紹介したいとは思えない。
何でも完璧な自慢の兄だけれど、何だか誰にもそれを知られたくない気分になる。
無言で歩く道は何だかとてもつまらない。
さっきまでの賑やかな場所が、すごく恋しく感じた。
だけれどそれを態度で示したりしたら、シオンは更に不機嫌になるだろう。
その理由は分からないけれど、シオンの前では私はアンナで居なきゃいけない。
皆は私をかなうと呼んでくれるけれど、家族は一度も私を″かなう″呼んだ事がない。
だから私は、家ではアンナで居なくちゃいけない。
もう目の前に迫った自宅を見つめながら、私はそんな事を思った。

