叶う。 Chapter1





シオンは相変わらず不機嫌で、私の腰をしっかり掴んで離さないで歩く。

その態度で、機嫌が悪いのは丸わかりだけれど、何が気に入らないのか私には分からない。


もしあの場に居たのがレオンだったら、気を利かせて先に帰るなり、皆に挨拶くらいはするかもしれない。

ひょっとしたら美人の凛に少し構ったりするかもしれないけれど、あそこまで空気を壊す事はなかっただろうと思う。


なぜ双子なのに、こうまで性格が正反対なのだろうか。

私は無言のままのシオンにバレないように、小さく溜め息を吐く。


シオンの事は嫌いではないけれど、友達の前では兄妹として紹介したいとは思えない。

何でも完璧な自慢の兄だけれど、何だか誰にもそれを知られたくない気分になる。


無言で歩く道は何だかとてもつまらない。

さっきまでの賑やかな場所が、すごく恋しく感じた。


だけれどそれを態度で示したりしたら、シオンは更に不機嫌になるだろう。

その理由は分からないけれど、シオンの前では私はアンナで居なきゃいけない。


皆は私をかなうと呼んでくれるけれど、家族は一度も私を″かなう″呼んだ事がない。

だから私は、家ではアンナで居なくちゃいけない。


もう目の前に迫った自宅を見つめながら、私はそんな事を思った。