「かなうって本当に携帯見ないのな。」
「うん。ごめん。」
「いや、逆に安心したよ。」
「なんで?」
「シカトされてる訳じゃないって分かったからw」
和也はそう言って、また優しく笑った。
私はどう返事を返して良いのか分からなかったので、出来る限り優しく笑えるように、意識して笑い返した。
和也の形の良い瞳が、更に優しさを帯びた。
「ほら、そこ、イチャイチャしない!」
見つめ合っている私達の間に、おしぼりが飛んできた。
どうやら犯人は向かいに座って誰が見ても不機嫌な顔をした晃らしい。
「晃さぁ、かなうと付き合いたくて、彼女と別れたんだってw」
「ちょ……ばらすなよ‼」
「和也に先越されたけどな。」
「ざまぁw」
凛にそう言われて、晃は盛大に溜め息を吐いた。
「あの日、俺がかなう送りたかったのに!凛が和也なんかに送らせるから‼」
「あんたみたいな飽きっぽい奴に、大事なかなう送らせるわけないじゃん。バカじゃないの?」
凛にバサッとそう言われて、晃はテーブルに頬杖をついて不貞腐れた顔をした。
私は何だか複雑な気分だったけれど、多分あの日に送ってくれたのが晃だったら、申し訳ないけれど付き合う事はなかったと思った。

