叶う。 Chapter1






眠ってしまうと、あっと言う間に時間が過ぎる。
なんだか肌寒い気がして目を覚ますと、もう4時間目の授業が終わる直前だった。

私は顔を上げると、いつもの癖で凛の席に視線を向けた。
すると珍しい事に、机に突っ伏した凛の姿が視界に映り、私はとても驚いた。

同時にとても嬉しく思う。
凛は大体いつもお昼にならないと学校に来ない。

だから、こんな時間に凛が居る事が純粋に嬉しかった。


それから直ぐに4時間目が終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。

クラスメイト達が一斉にお昼ご飯の準備を始める。


ざわざわとし始めた教室に気が付いたのか、凛は起き上がって小さく伸びをした。
そして鞄を持って私の席に向かって来る凛の顔を見て、私は一瞬にして血の気が引いた。


「おはよー。」

欠伸混じりに近づいてきた凛は、相変わらず綺麗な顔をしている。

だけれど、何故か形のいい唇の端が切れたような傷が見える。
化粧をしているけれど、隠しきれてない紫色の痣が痛々しくて私は目を見開いた。


「凛?どうしたの?」


私の向かいの席に座った凛に思わず小声で聞いた。


「何が?」

「何がって、怪我してるじゃん!」


私がそう言うと、凛は頬に手を当ててちょっとおどけたような仕草をした。