叶う。 Chapter1






こんなに近くに祐希が居たなんて、何だかとっても不思議な気分だった。

だけれど、何となく緊張して話が出来る雰囲気でもなかったので、私は一時間目の歴史の授業の準備を始めた。

教科書を出して、ノートを広げる。
たまにはしっかり勉強をしなくちゃと思うけれど、今日はそんな気分にすらなれない。

和也には申し訳ないけれど、私の頭の中はシオンの言葉で埋め尽くされていた。

約束……

それはいつの事を言っているのかすら、思い出す事も出来ない。
そのうち思い出すだろう、と言っていた意味深な言葉を考えると、何だか嫌な予感しかしない。

あの残酷で綺麗な笑顔は、私の恐怖心を煽るのには充分過ぎた。

シオンは一体、何を考えているんだろう?
完璧なシオンの頭の中身なんて、私には何一つ理解なんて出来っこない。

だけれど、最近のシオンはやっぱりどこかおかしい。

何時から?

シオンの行動が、おかしくなったのは何時から?


そこまで、考えて私はふと記憶が蘇った。

そう、あの日……。

あの綺麗な女の人と、シオンが一緒に居た日。


私は益々、混乱した。
なぜか、あの日からシオンの様子がおかしい気がする。

家族がいるのに突然部屋にやって来たり、外でキスをしたり、考えてみると、全部あの日を境におかしくなった気がする。