叶う。 Chapter1





「去年は入賞したんだけど、今年は優勝って言われ続けてて。」

「すげぇな。」

「本当に……毎晩練習してて、だから、あの。」

「そりゃ、疲れてるよな。」

「うん。だから、色々とごめんね。」

「いや、こっちこそそんな大変な時にごめんな。」

「ううん。本当に私ひとつの事に集中すると、周りが見えなくなっちゃうんだ。だから……」

「いや、良いよ。気にしないで。俺の方こそ色々ごめんな。かなうがそんな大変だって、気付かなくて自分の気持ちばっかし押し付けて。」

「良いの、本当にごめん。」


気がつくと、もう目の前に学校が迫っていた。
和也はそこで、少し立ち止まると私の顔をじっと見つめた。

登校中の生徒達は物珍しげに、見つめ合う私達をちらちらと伺いながら歩いて通りすぎている。


「あのさ、かなう。」

「うん?」

「じゃあ、今は大変かもだけど……俺の事嫌いになってない?」

「うん。和也こそ、私のこと……」


うんざりしてない?って聞きたかったけれど、和也はその言葉を遮った。


「かなうの事、誰よりも好きだよ。」


和也はそう言って、またいつもの優しい笑顔で笑った。