「去年は入賞したんだけど、今年は優勝って言われ続けてて。」
「すげぇな。」
「本当に……毎晩練習してて、だから、あの。」
「そりゃ、疲れてるよな。」
「うん。だから、色々とごめんね。」
「いや、こっちこそそんな大変な時にごめんな。」
「ううん。本当に私ひとつの事に集中すると、周りが見えなくなっちゃうんだ。だから……」
「いや、良いよ。気にしないで。俺の方こそ色々ごめんな。かなうがそんな大変だって、気付かなくて自分の気持ちばっかし押し付けて。」
「良いの、本当にごめん。」
気がつくと、もう目の前に学校が迫っていた。
和也はそこで、少し立ち止まると私の顔をじっと見つめた。
登校中の生徒達は物珍しげに、見つめ合う私達をちらちらと伺いながら歩いて通りすぎている。
「あのさ、かなう。」
「うん?」
「じゃあ、今は大変かもだけど……俺の事嫌いになってない?」
「うん。和也こそ、私のこと……」
うんざりしてない?って聞きたかったけれど、和也はその言葉を遮った。
「かなうの事、誰よりも好きだよ。」
和也はそう言って、またいつもの優しい笑顔で笑った。

