学校の近くまで、手を繋いだまま歩く。
いつもの私なら、周囲の視線が気になってそわそわしているだろうけれど、今日はそれどころじゃなかった。
並んで歩く和也に、申し訳ない気持ちでいっぱいだったし、何より今朝の出来事が頭を離れない。
「かなうってさ、何か悩みでもあるの?」
途中に寄ったコンビニを出ると、和也は突然そんな事を言い出した。
見上げてその瞳を見ると、何だか全てを見透かされたような気分になって視線を逸らす。
「悩みって訳じゃないけど……最近ピアノが忙しくて。発表会が来月で……。」
咄嗟に違う悩みを口に出す。
事実を伝えるのは、流石に出来ない。
「そうなの?」
「うん、今年は優勝って、プレッシャーがすごくて。だから、家でもずっと練習ばっかりで……」
「大変だな。でも、なんとなく分かるよ。俺も発表会とかコンテストとか、出る時あるから。」
「……そうなの?」
「うん、ダンスのな。先生おっかねぇし。」
和也はそう言っていつもみたいに優しく笑った。
どうやら、私の話は上手い具合に場の空気を元に戻してくれたようだ。
正直、私は少し安心した。
これ以上勘繰られたら、私は何を言い出すか分からないほど精神を消耗していた。

