叶う。 Chapter1







私は大慌てでそのまま玄関へと向かう。
何だか得体の知れない怪物にでも、追いかけられているような恐怖が身体中を支配していた。

約束っていったい何のことだろう?

駅までの道を早足で歩きながら、私は記憶の糸を辿るようになんとかシオンの言っていた約束について考えた。

夢で見たシオンのことを思い出し、必死に記憶を呼び覚まそうと頭を悩ませてみたけれど、全く思い出すことすら出来ない。


夢中で歩いていたので、道行く知らない人達に何度もぶつかりそうになったけれど、私は何とかいつもの駅ホームに着いた。

何だか頭が痛いし、気がおかしくなりそうな気分だった。
それでも何とか電車に乗り込み、気分が悪いので空いている椅子に座った。


電車に揺られながら、目を閉じて必死に吐き気を抑える。

“約束”というその言葉をずっと頭の中で繰返して呟いたけれど、それでも私にはどうにも思い出せそうになかった。


気がつくと、もう電車は学校のある駅に着いていた。
私は大慌てで閉まりかけた扉を抜けると、駅のホームに降り立った。

学校に行きたいという気分ではなかったけれど、私はゆっくりと改札に向かって階段を降りた。


「・・・かなう?」


改札を抜けると、私はその声でようやく現実に戻った。