「わ、わかった。」
私がそう言うと、和也の表情が一瞬和らいだ。
「じゃあ、付き合ってくれるの?」
「それは・・・ちょっと待って。」
「・・・どうしてもダメ?」
そう言って私を覗き込む和也は、何だか捨てられた子猫みたいな目でじっと私を見つめ続ける。
「あのね・・・あの・・・。」
「うん?」
「ほんとに、私何も知らなくて。」
「うん。」
「だから、多分嫌な気分にさせちゃったりすると思うし。」
「うん。」
「付き合う事が、嫌なんじゃなくて・・・。」
「・・・うん。」
「付き合うのがどういうことか分からないの。」
私はそう言って、溜息混じりに俯いた。
本当に自分の馬鹿さ加減に、いい加減呆れてしまいそうになる。
彼氏、彼女になれば、交際をしているという事は理解しているし、肉体関係を持つことくらいは知っているけれど、世のカップル達が普段どのように過ごしているのかよく知らない。
それだったら、シオンのように何も言わずただ身体だけ求められる方が私にとってはよっぽど気が楽だ。
だけれど、どうやら和也が求めているのはそれとは違う気がする。
傍に居たいとか、独占したい、とか私はそんなこと感じたことがないし、多分これからも感じることはないと思う。

