「じゃあ、かなうは今、恋愛対象として好きな人が居ないってことだよね?」
「・・・うん。」
「それなら、さ。俺の彼女になってくれない?」
「・・・・え?」
「かなうが、俺のこと嫌いになったら何時でも振ってくれて構わない。強引で悪いけど、俺どうしてもかなうのこと・・・。」
その瞬間、私は和也に腕を掴まれて引き寄せられた。
一瞬驚いて目を見開いたけれど、私はそのまま和也の胸に抱き寄せられた。
シオンとは違う、その体温に一瞬戸惑った。
だけれど何故かそれは不快ではなくて、私は抵抗しようとは思わなかった。
「・・・好きなんだ。」
和也は私を胸に抱いたまま、静かにそう呟いた。
私はどうするべきなのか分からなかった。
拒否することも抵抗することも、出来たはずなのにしなかった。
人を好きになる事がどういう気持ちなのか分からなかったし、何よりも初めての経験で頭の中が真っ白になっていた。
こんな私みたいな人間を好きだと言ってくれる和也に少なからず好意を抱いている事は確かだけれど、だからと言ってそれで付き合うとか付き合わないとかの物事を冷静に考えられないほど、頭が悪いわけじゃない。
こういうことは、いい加減に決めてはいけない気がした。

