「・・・・俺さ。」
「うん?」
「こんなの初めてなんだ。」
和也が何を言おうとしているのかが、分からなかった。
私を真剣に見つめるその瞳は、私が今まで見たことがない雰囲気だった。
私は小さい頃から、人の瞳をよく見る子供だった。
その瞳に映るもので、自分がこれからどうされるのか判断しながら生きてきたから。
だから人の視線には敏感だったし、なるべくいつも周りの瞳を見ないように過ごしている。
多分、それも小さい頃に勝手に身についた習慣なんだと思うけれど、私はいつしかそれを色で判断するようになってた。
人に恐怖を与える人の瞳は赤黒く見えたり、欲を含む瞳は濁った水のような色を感じる。
種類は沢山あるけれど、それは私が感じるだけだって病院の先生に言われた。
最近は落ち着いてきて、そんなことはあまり気にしないようにしてきたけれど、それでもやっぱりこういう風に観察してしまう自分が少し嫌になった。
だけれど、今目の前に居る和也の瞳の色を私は知らない。
こんな瞳の色を見たことがないから知らないのだと、純粋にそう思った。
私はなんとなく、視線をそらせなかった。

