叶う。 Chapter1






その仕草に呆気にとられた私に、和也はいつもと同じ優しい笑顔でこう言った。


「かなうは何だか放っておくと、直ぐ怪我しそうだから、こうしてると俺が安心するんだよ。」


そう言って、そのまま手を引かれて歩く。

なんだか凄く子供扱いされてる気分だったけれど、和也の大きな手はとても温かくて、その温もりに私はなぜか安心した。

私にはそういう経験がないのでよくはわからないけれど、その仕草は何だか父親が自然に娘の手を引くような感覚なのかもしれないと思った。

そう考えた瞬間、自分がとても子供に思われている気がして、ほんの少し悲しくなった。

和也はそんな私に気付かずに、手を引いてゆっくりと歩く。


ヒールを履いてない私は、和也との身長差がこの前よりも広いことに余計に距離を感じる。
だから親子みたいな感じがするのかもしれない。

だけれどどんなに頑張っても、私の身長はこれ以上大きくなる気配は全くないので、そろそろ諦めようと切実に思った。


しばらくのんびりと歩くと、よく見かけるコンビニが見えてきたので私は自然と手を離した。

歩いている時は危ないかもしれないけれど、コンビニで怪我をするほど間抜けじゃないと、ほんの少しだけ反抗したい気分だった。