叶う。 Chapter1




良くも悪くも、私には感情というものがあまりない。

怪我をすれば痛いと感じるし、面白いものを見れば笑うことも出来るし、お腹が空けば何かを食べたいと思うし、眠いと思えば普通に眠るけれど、それはどれも人間の本能の部分。


私の欠落した部分は、それとは別で・・・

例えば、誰もが感動したっていうドラマを見ても私は感動する理由がわからないし、もちろんそれで涙を流すなんて有り得ないことだと思う。

大事な人が亡くなったり、大切なものを失えば人は悲しむものだ、とちゃんと理解は出来ているけれど、それをどう表現したらいいのか、私には分からない。

端から見たら、それがおかしい事だとわかってはいるけれど、私にとっては感情を表現する事はとても難しい。

だけれど、それで困った事は無いので、治したいと思う事もなかった。

だって私には、感情を現す必要がある相手なんか居ないのだから。