叶う。 Chapter1





---・・・・病院の屋上から見上げる空は、雲一つなく真っ青だった。

久しぶりに浴びた太陽の光が眩しくて、私は一瞬目を閉じた。
看護婦さんは私の乗った車椅子を固定すると、どこかにいってしまった。

食い入るように空を見続ける私に、きっと興味がなかったんだろうと思った。



不意に子供の笑い声が聞こえた気がしたけれど、私は気にせずにその真っ青な空を見上げていた。



すると突然、私の視界は小さな影に遮られた。

太陽を背に急に現れたその影は、逆光で顔が見えなくて、私は思わず目を細めた。



ふと、目の前に差し出されたのは、小さな掌。

何故かは解らないけれど、私は震える指先をその掌に重ねた。


“あたたかい”


そう思ったのを覚えている。