叶う。 Chapter1




家に入ると、私は自分の部屋に荷物を置きに向かう。

このマンションの間取りは4SLDK。

リビングと、主に私がピアノの練習をする防音室は家族共有だけれど、残りは1人1部屋ずつの部屋割りになっている。


私の部屋はリビングから一番遠いけれど、庭に近いので日当たりもいい。


各部屋にはきちんと鍵がついているけれど、それを使った事は今まで一度もなかった。


ここに住まわせてもらっているけれど、私はあくまで養子であって、居候なのだからそれは当然だと思っている。


それに特に用もなければ、普段はリビングで過ごしていることも多い。

忙しいママに代わってご飯の支度をしたり、片付けをしたりすることも多いからだ。