叶う。 Chapter1






自分ではあまり意識したことはないけれど、ピアノの先生曰く今年が中学生の部で優勝を狙える最後のチャンスらしい。

理由は様々だけれど来年は受験だし、どの学校に行こうが練習時間が削られるのは当たり前らしい。

高校生になれば賞をとれる子は、皆ピアノを専攻した学校に通うらしいので、それは更に狭き門になる。

私は高校の事はまだ何も考えていなかった。
明日の事すらきちんと考えられない私には、自分の将来のことを考えるのは難しい。

だから、それは発表会が終わってからきちんとママに相談して決めれば良いと、今はそう思う。



ピアノを弾いている時は、なぜか時間が経つのが物凄く早い。

さっきやってきたばかりだと思ったのに、何故か時計はもう翌日の日付を少し過ぎたくらいだった。

鍵盤から手を離した私は、そのままそっとカバーをして鍵盤蓋を閉じた。



そして明日使うテキストや楽譜を持って、部屋に戻った。