叶う。 Chapter1





段々と近くなる距離に、改めてその身長差に溜息を吐きそうになる。
目の前まで迫ったシオンの胸の辺りを見つめながら立ち止まると、シオンも私の目の前で足を止めた。


きっと見下ろされているに違いない。
私はゆっくりと視線を上に上げた。

その途端、シオンの大きな掌が私の頭に乗せられた。
その手はとても温かくて、全てを包み込むような不思議な感じがした。

「・・・昨日・・・・ごめんね。邪魔しちゃって。」

視線を上に向けたけれど、シオンの手と、パーカーのフードが邪魔をして、シオンの表情は分からなかった。


「あの・・・人、怒ってなかった?」

「・・・誰が?」

「あの、綺麗な・・・・」

女の人、と言いたかったけれど、言葉には出来なかった。


いつの間にかシオンの掌は、頭からするりと私の頬に移動して私の顎をなぞるように持ち上げた。

ゆっくりと触れる唇が、私の声を奪ったからだ。


驚いた私は、思わずシオンの身体を思いっきり押した。

嫌だという訳じゃなく、こんな場所で、もしも誰かに見られたらと思ったら咄嗟に出た行動だった。


反動で二人の距離がほんの少し開く。
といっても、シオンはびくとも動いていなくて、私が少し下がっただけだった。