叶う。 Chapter1




玄関に着くと、鞄に手を突っ込んで鍵を探す。

それは小さな金属音がするおかげで、手探りだけで見つけることが出来た。

2箇所についた鍵穴にそれを差し込んで回すと、カチャリと音がして、鍵が開錠されたのを指先で感じた。


重い扉を開いて中に入ると、明るいけれど物音一つしない。


「・・・・ただいま。」


小さく声に出したけれど、返ってきたのは静寂だけだった。


時間は午後の7時を少し過ぎたくらいだから、きっとママは仕事に行ったんだろう。

シオンとレオンはまだ帰ってないのか、帰ってから出掛けたのかは分からないけれど、どうやら今は家に居ないらしい。


私の家族。
ママと、紫音(シオン)と玲音(レオン)という名の双子の兄。