車はママがよく行く有名ブランドが軒を連ねる専門店街の駐車場へ向かった。
私にはまだ敷居が高く感じるその場所は、もう何度もママに連れられてやって来ているけれど、未だに慣れない。
きっちりとスーツを着込んだ礼儀正しい店員さんや、態々扉を開けてくれるだけの警備の人など、なんだかこんな小娘にまで、そんな対応をしてくれるのが申し訳なく感じてしまう。
だから、私はいつもママの後ろに隠れるように、ゆっくりとママの後を着いて回る。
だけれどその場所は、女の子なら誰でも憧れるような、素敵な服や装飾品がいっぱいあって、見ているだけでもとても楽しい。
その日ママが向かったのは、そんなブランドの中でも比較的若い子が好んで着るようなブランドショップだった。
「んー・・・やっぱり赤かしら?」
ママは私の身体にハンガーに掛けられた赤色のニットワンピースを当てる。
すかさず店員さんが飛んできて、ママに声を掛ける。
「そちらは本日入荷したばかりなんですよ。」
ニコニコと愛想の良い店員さんは、まだとても年齢が若そうだった。

