「でも記憶を塗り替えるためには、アンナは少しずつで良いから前に進まなきゃいけない。それを補助するのが僕の役目なんだよ。だから、毎週ちゃんと病院に来て欲しい。」
先生はそう言って、またカルテに何かを書き込んだ。
「それにね、アンナ。辛い時はきちんと薬を飲まなくてはダメだよ。アンナは普通の子と違って色々と感じやすいんだ。だから辛い時は薬に頼ることは悪いことじゃない。」
「・・・はい。」
「薬に頼りすぎるのは良くないけどね。だけどアンナは頼らなすぎる。薬だけじゃなくて、僕や家族にも、もっと沢山我侭を言っても良いんだよ?」
先生の言葉にちらりとママを見ると、ママは私の背中をまた優しく撫でてくれた。
「先生の仰るとおりよ、アンナ。女の子は我侭なくらいで丁度良いのよ。」
そうは言われても、我侭を言うのは私には難しい。
「まぁ、それもゆっくりで良いんだよ。アンナは皆に愛されているんだから、自信を持って。」
先生はそう言うと、同意を求めるかのようにママに一瞬視線を移した。
ママも優しく微笑んでいた。
私はなんだか温かい気持ちになった。

