最初の頃は、全く話すこともしなかった私だけれど、先生は本当にゆっくりと時間をかけて、色々なことを教えてくれた。
大人が怖い存在じゃないということも、もう誰も私を傷つけることはないという事も、本当に長い時間をかけて私に接して教えてくれた。
多分、新人だったからお荷物の私を押し付けられただけだったのかもしれないけれど、それでも先生は時間さえあれば病室までやってきて、いつも私の事を気にかけてくれた。
看護師さんですら、手を焼く私に先生はいつも一生懸命だった。
だから私もいつの間にか、この先生に少しずつ心を開いていった。
ママに引き取られてからも、私は毎週先生の所に通っていた。
それはあの頃からずっと、変わらない。
だけれど、2年前に先生がその大学病院から親の跡を継いでこの病院に移ったので、それ以来私もずっとこの病院に通っている。
出会った頃の先生はまだすごく若かったけれど、最近はすごく落ち着いた雰囲気だ。
多分、年齢で言ったら30代後半に差し掛かるくらいだろうけれど、職業柄なのかとても落ち着いて見える。
賢そうな端正な顔立ちに、スラリとした身長。
これで頭がいいのだから申し分ない。

