叶う。 Chapter1





もう見慣れた診察室。

白を基調としたこの診察室はいつも綺麗に片付けられていて、所々に置かれた観葉植物の緑がいつも青々とその存在を主張している。

「やぁ、アンナ。久しぶりだね、元気にしていたかい?」

私の姿を確認した先生は、にっこりと笑って向かい合って置かれたソファに座るように手で示した。

「宜しくお願いします。」

ママがそう言うと、先生はママに視線を移して一瞬熱い視線でママを見つめた気がした。

「お母様もどうぞ、お座りください。」

先生にそう言われたママは、ゆっくりと私の隣に寄り添うように座った。
先生は自分の机だろう場所から、何枚かのカルテを持って私達の向かいのソファに腰掛ける。

私はぼーっと先生を眺めた。

初めて私が先生と会ったのは、病院に保護されて暫く経った頃だった。
その頃の私は、どんな大人にも拒絶反応を起こしていて、毎日色々な先生にたらい回しに診察されていた。


多分、言葉もろくに話すことが出来ない私を扱うのは面倒で、どの先生もさじを投げたんだと思う。

そして、その頃ちょうど研修医としてやってきたこの先生が、いつの間にか私の担当になっていた。