叶う。 Chapter1





15階はこのマンションの最上階で、他の階とは違い1フロアに1家族しか住んで居ない。

そう、私の家族以外住んでいないのだ。


なのでエレベーターに乗ってしまえば、他の誰かと顔を合わせることはほとんどない。



エレベーターが最上階に着くと、私は玄関まで続くレンガ敷の道をゆっくりと歩く。

私の住んでいるこの家は、マンションというより一戸建てのような外観だった。

もちろん、外から見たらマンションなんだけれど、最上階のこの家はエレベーターから続くレンガが敷き詰められた道に、色とりどりの季節の花が植えられた小さな庭まである。

所々に照明が配置されているので、夜でも明るい。

初めて見た時はびっくりしたけれど、微かに花の香りがするこの庭は、今では私のお気に入り。


お天気の良い日は、日光浴を兼ねて庭で本を読むことが最近の日課だった。