叶う。 Chapter1




「うん。」


私はもう一度手荷物を確認して、タイツと同じカラーの大判ストールを持ってからママに着いて部屋を出た。

玄関まで来ると、ママは忘れものをしたと言って慌てて部屋に向かって行ったので、私は下駄箱を開けて少しヒールの高い黒いブーツを取り出した。
基本的にヒールは足が痛くなるから好きではないけれど、小さい背を少しでも高く見せたい私にとっては必需品だった。

私がブーツを履き終わると、ちょうどママが玄関に戻ってきた。


バッグとコートを手に掛けて、なにやらキラキラ光る物を手に握り締めている。

「アンナ、これ付けてあげるから後ろ向いて。」

ママはそう言って私に前を向かせると、私の髪を纏めて横に流すと首元にさっき持っていたキラキラ光る物をかけた。

それは小さなダイヤのついたネックレスだった。
指先で触れると、それはキラキラと輝いてとても綺麗だった。

「アンナはいつもシンプルだから、たまにはアクセサリーくらいつけた方が良いわ。」

ママはそう言って、ネックレスをつけた私を満足そうに眺めた。

「ありがとう、ママ。」

なんだか、少しだけ大人になった気分だった。