叶う。 Chapter1




この日、選んだ服はシンプルな黒いニットワンピースだった。

ママ曰く、私は童顔だけれど化粧をすると物凄く化けるらしいので、黒とか赤とか、はっきりした色が似合うらしい。

自分ではそんなに分からないけれど、去年の発表会の時、黒いセクシーなドレスとママの施したばっちりメイクをした私を見たレオンが、ママに聞こえないように“これならヤレる”と小声でシオンに言ったのを、私は密かに知っている。

元々が外国の血が入っているから、私は少しの化粧で物凄く印象が変わるんだと思う。
だけれど、人の目を引くことは好きじゃないから、普段はほとんど化粧をしない。


ワンピースに着替えて、ワインレッドのタイツを履く。

髪を丁寧に梳かして纏めたかったけれど、時間がないので今日はテンガロンハットを被ることにした。
薄めに眉を書いて、そばかすが目立たないようにパウダーを叩き、リップをつける。


そしてお出かけ用のバッグに、携帯とお財布、ハンカチなんかを詰め込んでいると、部屋の扉が2回ノックされた。


「はーい。」

私が返事をするとカチャリと音がして、すっかり綺麗に変身したママが顔を覗かせた。


「準備出来た?そろそろ行かないと。」